平成23年3月11日に発生したあの東日本大震災か10年以上の時間が経過しました。放射線汚染によって生活環境が大きく一変してしまった福島の子どもたちは、一見すると平静を装っているように見えるかもしれません。しかし実際には、依然として根深い不安を抱えた保護者の元で暮らす子どもたちは、生活環境のみならず自分自身の将来の心と体の発育発達も気にしなくてはいけない日々を送っています。ところが、急速に進行する風化と忘却は止められず、現地ですら問題意識が希薄になりつつあります。
前例のない状況下で何とかして子どもたちを守ろうと立ち上げた、「郡山市震災後子どもの心のケアプロジェクト」。当初はPTSD(posttraumatic stress disorders:心的外傷後ストレス障害)の発症予防を目的に、心のケアを中心に捉えた活動でしたが、徐々に心のケアだけでは不十分であり、子どもたちの心と体、そしてその保護者、更には子どもを取り巻く環境に気を配り、子どもたちが健康的に心と体を育む環境を整える必要があることを認識しました。
そのような認識から、当法人の設立に至った訳であります。
東日本大震災とそれに伴う原発事故は、私たちに何を残したのでしょうか? 復興とは、元通りになるだけでなく、新たな社会、新たな仕組みを作りあげることだと思います。 特に、子どもたちの生きる環境(成育環境)の再構築が喫緊の課題と考えています。
私たちの目標は、福島の子どもたちが『日本一元気』になることです。地域の大人たちが子どもたちに寄り添い、そして次世代の社会を支える子どもの健やかな心と体を育まなくてはなりません。例えば、肥満児の発生を抑える地域一丸の取組が必要であり、子どもが思いっきり遊べ、楽しむことができる屋内外の遊び場や、東北の寒い環境であっても運動・スポーツが自由にできる全天候型の運動場の設置が必要です。
子どもたちが育つために必要な刺激や経験を与えることができ、地域の大人たちが子どもの発育発達をしっかりと見守る体制を急いで創らなくてはなりません。そのためには子どもの目線に立ち、子どもを中心に考えることが必要です。30年前の日本の子どもたちが持っていた良き生活習慣を取り戻し、そして新しい時代に適応した生活習慣を新たに組み入れる、まさに子どもたちの成育環境のルネサンス(再生と復興)が必要です。
福島だからこそ気付くことができた子どもたちを健やかに育むための環境整備の重要性は、おそらく次の時代の日本の子どもたちの生きる環境を創造する上での大きなヒントになり得ると確信しています。
教育・保育の現場だけでなく、行政、地域、医療関係者、そして保護者が一丸となって地域の子どもを育む社会の創生を、福島で実現し発信することが求められています。
医療法人仁寿会菊池医院・院長、菊池記念こども保健医学研究所・所長、認定NPO法人郡山ペップ子育てネットワーク・理事長、郡山市震災後子どものケアプロジェクト・リーダー、復興庁・復興推進委員
専門は小児科一般、小児呼吸器。東日本大震災が幼い子どもに与える影響の大きさとそのケアの必要性・重要性をいち早く訴え、震災の 10 日後には、郡山市医師会を主体として市などと連携した「郡山市震災後こどもの心のケアプロジェクト」を立案し、マネジャーを務める。教育者や保育者に対する勉強会や親子を支援するイベントを行うなど精力的に活動している。東北最大級の屋内遊び場 PEP kids Kaoriyama設立の中心を担った。
団体名 | 認定NPO法人郡山ペップ子育てネットワーク |
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事業内容 |
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住所 | 〒963-8803 福島県郡山市横塚一丁目1-3 マップで見る |
連絡先 | 電話 : 024-942-6777 FAX : 024-942-6778 |
設立 | 2012年5月 |
役員 |
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